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うばめがし(姥目樫) 和歌山ではうばめがしの葉の形が「馬の目」とそっくりなことから「馬目樫」と書かれる。 また「うばめがし」と呼ぶより「ばめ」と呼ぶ事が多い。 備長炭の優れた炭質は、製炭技術もさることながら、炭材にうばめがしを使用することで生まれる。 この木はきわめて堅い材質の常緑樹で、萌芽しやすく、主に沿岸のやせ地に生育する。 他の木と比べて成長が遅く、苗木から炭材として最高の品質になるまで30年位かかる。 厳しい自然環境の中で、成長の遅いうばめがしは、当然成長の早い樹木らに覆われ日光を遮られ枯れ てしまう。 大切な原木を守るため炭焼き師たちは、そうした不要木を除伐し、うばめがしの成長を助け、また成 長したうばめがしを炭材として伐採する際には、全てを伐採せず、適正樹令に達しない若い木を残す 「択伐法」を続けてきた。 そうすることによって山には常にうばめがしが生育し、短いサイクル(約15年)で伐採することが 出来た。 限られた面積で長年原木を調達できる方法を、山を育てる事によって可能にした。決して金儲けのた めだけに原木を無計画に乱伐せず、優れた育林技術を有した紀州の炭焼き集団は、千数百年の間永遠 と和歌山の大地にうばめがしを残してきた。自分たちが自然界と共生していくために。