あらかし







  アラカシ粗樫  ぶな科 常緑樹   

和歌山の樫林で最も多く見られるのがこのアラカシである。
カシを見たらまずこれと思ってもよいぐらいである。
ウパメガシが海岸付近に多いのに対し、アラカシは海岸より10キロ以上離れた山間部に多い。
葉の幅がやや広く、上半分だけに荒くやや鋭い鋸歯がある。
紀州備長炭の原木としても使用されているが、備長炭の品質からすれば、ウパメガシよりも多少柔らかく、燃料用としては価値が若干低かった。
しかし和歌山県内に広く分布しており、またウパメガシよりも成長速度が速いことから、アラカシ備長炭は現在でも多く生産されている。
生産者の話によると、アラカシ備長炭の焼き方はウパメガシ備長炭よりも難しいといわれ、原木が柔らかい分、窯の温度を上げる際、十分慎重に行わないと炭になっていく段階で壊れたり、縦に深いひび割れが入ってしまう恐れがある。
またウパメガシ備長炭の窯だし温度は、1300度と言われているが、アラカシ備長炭の場合、窯だしの際顔に差し込む熱の強さがやさしい、ともいわれており100度前後の差はあるかもしれない。