2.広葉樹資源の利用状況
 本県広葉樹林の1/4を占めるカシ頼は、古くから紀州備長炭の原料として活用されてきた。
現在備長炭は年間約2,400t(16万俵)が生産され、内、良質とされるウバメガシを原木とするも
のが約7割、残りの約3割がアラカシ等のその他カシ類と推定されている。
この原木用としてウバメガシが年間約15千m3、その他カシ頼が約7千m3使用され、ウバメガシでは、
15,000〜20,000円/tの価格で取引きされている。
 シイタケ原木用として使用されるクヌギ・コナラ材は年間約12,000m3におよぶものの県内産は
約40%に留まり、過半数が他県から移入されている。
ほだ木(径10〜15p、長1m)当たり平均230円程度(1m3当り約24,000円)で取引きされている。
 ケヤキ等を主な材料として、木材工芸品の生産も龍神村・大塔村などの奥地山村地域において行
われているが、原材料となる大径広葉樹材の不足などにもより、生産量はわずかにすぎない。
また、森林の持つ保健休養機能の高度発揮へのニーズが高まりを見せるなか、多様な樹種から横成
される広葉樹林の保存・活用が望まれ、本県においては、昭和59年度に龍神村護摩壇山周辺のブナ
・ミナズラ林約194haを取得し、護摩壇山ワイルドライフとして総合的な森林レクリエーション施
設を整備しているところである。
このほか、県下各地において特に広葉樹林を中心として、生活環境保全林整備事業、多目的保安林
総合整備事業、緑の交流空間整備事業等を積極的に実施し保健休養の場、環境材としての森林の整
備に努めているところである。