2.ウバメガシの択伐旋業
(l)択伐施業の利点
 ア.目的樹種の純林の育成(他樹種の成育を防止する。)
 イ.生産目標に合った原木確保(高品質、低コスト材)
 ウ.林地保全(公益的機能向上)
(2)択伐施業の方法

ア.薪炭林の具備条件
 具備条件は地域に依って異論はあるとおもわれるが、条件としては優良樹種が大部分を占めるととも
に形状の良い立木が多数存在し萌芽力・成長力が旺盛であること等さまぎまな具備条件があげられ、特
に薪炭林の優良樹種としては下記のものがあげられ、優良薪炭林の造成については主林木、副林木とし
て造成するのが理想である。

 主林木 常緑樹 ウバメガシ、アラカシ、アカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、シラカシ
     落葉樹 クヌギ、コナラ、ホオ、ミズナラ
 副林木 常緑樹 サカキ、ヒサカキ、カナメモチ、イチイガシ、ツバキ、シャシャンポ
         ネズミモチ、ソヨゴ、コバンモチ、モチノキ
     落葉樹 ウシコロシ、リョウプ、ネジキ、ミズメ、シデ類、ナツハゼ、ケヤキ、アオダモ、
         イヌザクラ、ヒメシャラ

イ.択伐施業の種類
 本地方における択伐施業はウバメガシ等を主とし、実際の施業内容は次の4つに大別される。
択伐の
種 類
   択伐率回帰年 目通り
直 径
備      考
材積本数
弱度
  択伐
5割〜
 6割
1割5分
〜2割
7〜
  8年
5p
 以上
短期間に樹冠のうっぺいをきたす。
備長炭の中丸を目標とする。
中庸度
  択伐
6割〜
 7割
2割〜
 3割
8〜
 10年
4.5p
 以上
林分を3段階に誘導する。
備長炭小丸、中丸を目標とする。
強度
  択伐
7割〜
 8割
3割〜
 5割
10〜
 12年
3p
 以上
林相は伐採木と幼齢木の2段階。
備長炭小丸を目標とする。
バイ
  残し
8割
 以上


1.5p
 以上

ウ・伐採木の選定基準 @白炭原木として不適当なものは除去する。 A良質木の小径なもの、通直ものを残存し、不整形木、虫害木、その他優良木の成長を阻害するものは  除去する。 B大径木であっても一株より数本並立するものは林冠の配置を考慮し1本を残し伐採する。 C残存木の配置は面積よりも各株を本意とすること。  この場合残存木の直径級、林冠の配置の調和に留意し、たとえ残存、伐採当該木であってもこの配置  を乱すものであれば残存、または伐採すること。  以上伐採木の選定は優良木の成長に必要な土地と空間をあたなければならない。  初めての択伐は原木を収穫するより、まず山をつくるということに主眼をおいておこなうことが肝要  である。 エ.伐採の時期  伐採の季節が萌芽の良否及び、その後の萌芽成長に及ぼす影響は極めて顕著であるので、夏期の伐採 は極力避けて林木の成長休止期間の10〜1月までにおこなうのが望ましい。 以下の表は10〜2月の萌芽成長を100としたときの各月の成長量である。
10月
 〜2月
3月4月5月6月7月8月9月
10080804545606040
オ.択伐施業の要領  択伐の度合は森林の位置、森林の方向、傾斜の度合、位置(海岸、山間部、山頂、山嶺)気侯等を考 慮し決定すべきであるが、実行に当たっては施業者の技術によるところが大きい。 ここでは、択伐の程度を施業者の技術、林況以外の前述の条件で区分してみた。 下表がそれである。
  択伐の程度
立地種類
弱度択伐
(択伐率60%)
中庸度択伐
(択伐率70%)
強度択伐
(択伐率80%)
森林の位置海岸地帯、山頂山奥、中腹、凹地山奥、中腹、凹地
森林の方向西、南北、東
森林の傾斜急傾斜普通普通
地味の良否悪(岩石地)
土壌湿度乾地潤又は湿潤又は湿
土壌深度中又は深中又は深
雨量普通普通又は多
風邪がよく吹き
強いところ
普通 吹かず
強風が当たらない
カ.林況と択伐  択伐は更に林況によって異なり、実施に当たっては樹種の混交率、立木度、鬱閉度、根株の間隔、林 木の成長状態、萌芽力の盛衰等を観察し、施業をおこなう。  択伐程度の区分は下表のとおりである。 ただしこの区分は林況によってのみ分類されたものである。