このコーナーは和歌山県農林水産部が平成4年に作成した資料に基づいて おり、皆さまに県内の概要を知っていただくため紹介させていただきました。 は じ め に
紀州傭長炭は、和歌山県の特産品として高い人気を博している。 その歴史も古く、遠く平安朝の時代にまでさかのぼると伝えられている。 原木となるウバメガシ林の育成技術についても、森林の諸機能を損なうことなく資源を最も有効 に活用する択伐施業が、長い年月の間に確立されてきた。 近年に到り、効率を重視するあまり、備長炭原木林の皆伐施業が散見されるようになったが、ウ バメガシなどの林の滅少が懸念される中、資源保続に適した択伐施業が見直されてきている。 県においても、古く戦前から林業試験場を中心として、備長炭原木林における択伐施業の調査・ 解析を進めてきた。 原木林の保続・造成が求められる現在、本冊子は県下の資源量を明らかにし、手枕されてきた研 究成果をとりまとめたものである。 貴重な業績を残された研究者の皆様に改めて敬意を表するとともに、本冊子に収められた資料が 備長炭原木林め造成の一助になれば幸いである。